2025/04/22 23:52

印鑑の書体について
当店でお選びいただける6種類の書体について、それぞれの歴史や特徴をご紹介します。
篆書体(てんしょたい)
最も古い書体の1つで、秦の始皇帝の時代に文字を統一する目的で定めた「小篆」を基にした書体。
天地左右を枠につけ、左右対称を意識した造形で、線の太さが均一なのが特徴で、儀式や格式を重んじる厳かな場面に適しています。
実は、紙幣の表「総裁之印」裏「発券局長」と押印してある書体です。
→ 伝統的な雰囲気や、改まった印象を持たせたい実印におすすめ。
印相体(いんそうたい)
昭和初期に日本で考案された印章のための独自の書体。
篆書や古印体を基に、偽造防止や視認性の高さを追求し設計されました。
太く丸みのある線で構成され、文字を枠いっぱいに配置するため、密接に絡み合った線は重厚感と唯一無二の印象を与えます。
「吉相体」とも呼ばれ、縁起の良い書体と紹介されることもありますが、本来は機能性と意匠性を重視した実用的な書体です。
→ しっかりした印象で、存在感のある印影を求める方におすすめ。
隷書体(れいしょたい)
篆書の次に歴史があり、篆書を読みやすくした書体。
文字を枠につけずに内側に収め、横幅が広く安定感のある見た目で、八の字の様に左右に勢いよく分かれる「八分(はっぷん)」と呼ばれるのが現在の隷書です。
こちらは、紙幣上部「日本銀行券」の文字に使われる書体です。
→ 個性もありつつ、落ち着きある整った見た目にしたい方におすすめ。
楷書体(かいしょたい)
三国時代(3世紀頃)の中国で成立し、行書や草書の基になった隷書をさらに整理・簡略化した書体。
画の始まりや終わりが丁寧に整えられ、形がはっきりしており、現在も標準的な書体として広く使われています。
読みやすさとバランスの良さが特徴で、誠実さや落ち着いた印象を与えます。
→ 初めて印鑑を作る方、公的に使う印鑑を求める方におすすめ。
行書体(ぎょうしょたい)
漢の時代に隷書を基に生まれ、筆の流れを活かした書体。
楷書より柔らかく、草書より読みやすい中間的な存在で、公私に渡り広く使われてきました。
筆記体に近いリズムで、流れるような線が、しなやかで親しみやすい印象を与えます。
→ かしこまりすぎず、やわらかな印象にしたい方におすすめ。
古印体(こいんたい)
中国・漢代の印章に使われていた文字を基に、日本で独自の発展を遂げた書体。
隷書体を基に、やや丸みを帯びた線で構成され、文字の欠けや線の接点の墨溜まりなど、読みやすいのに味わい深い書体です。
手彫りの風合いと、ぬくもりのある印象を与え、実用印からギフト用まで幅広く使われています。
→ 柔らかさや親しみやすさを出したい方におすすめ。
